鍵の抜き差しがうまくできず、鍵本体を交換したいと思っていませんか?
鍵や鍵穴には寿命があって経年劣化してしまうため、どこかのタイミングで交換する必要があります。
交換作業は業者に行ってもらうことも可能ですが、費用が高くつきやすいのが難点です。
しかし鍵の交換を自分で行えば、費用は抑えられるんです。
作業自体もそれほど難しくないため、普段DIYをしない人でも簡単にできます。
自分で鍵を交換して、費用を上手に節約しましょう。
自分で鍵を交換する前に準備すること
鍵の交換は自分でも簡単に行えますが、作業をするためには事前準備が必要です。
交換前にやっておきたいことは次の4つです。
- メーカーと型番を調べる
- ドアの規格を把握する
- ドアに合った鍵を購入する
- 鍵の交換に必要な道具を揃える
しっかりと準備を行ってから作業を開始することで、よりスムーズに鍵を交換しやすくなります。
メーカーと型番を調べる
まずは、現在使用している鍵のメーカーと型番を調べます。
メーカーや型番はプレートに記載されているため、ドアの側面から見て確認しましょう。
ドアに適合するサイズであれば、メーカーや型番が違っても問題はありません。
しかし鍵の取り付け方法は、メーカーや型番によって細部が異なることが多いです。
同じメーカーや型番のものであれば、取り付けの手順を逆にするだけで取り外しもできるので、同じものを使用するほうが作業しやすいです。
同じものを用意できない場合は別のメーカーや型番のものにチャレンジするしかありませんが、DIY初心者ならなるべく現状と同じものを用意することがおすすめです。
ドアの規格を把握する
現在と同じメーカーや型番のものを使用する場合は不要です。
万が一、別のメーカーや型番のものを使用する場合は、予めドアの規格を測っておかなければなりません。
測定する部位は次の4つです。
- ドアの厚み
- バックセットの長さ
- フロントの長さ
- ビスピッチ
ドアの厚みは「側面の厚み」を確認するだけなので、定規やメジャーで簡単に測れます。
厚みは鍵部分のみを測り、装飾部分は除外します。
バックセットとは、ドアの端から錠前の中心までの距離です。
フロントとは側面の板で、厚みに加えて長さも測っておきましょう。
フロント部分にはプレートがあり、これはビスで固定されています。
フロントのプレートを止めているビスの間隔を「ビスピッチ」と呼び、これも正しく把握しておく必要があります。
これら4つのサイズを把握しておけば、メーカーや型番が違うものでも選ぶことができ、交換する鍵の選択肢が広がります。
サイズさえ合えばどのメーカーでも使用できますが、ずれのないよう正確に測定しましょう。
ドアに合った鍵を購入する
メーカーや型番、ドアのサイズを確認したあとは、鍵を購入しましょう。
鍵はホームセンターやインターネットで販売しており、市販されているものから選んで取り付けます。
ただし、購入場所によってメリットとデメリットが異なります。
ホームセンターで購入する場合、実物を見て分からない部分を店員に確認して選べる点がメリットです。
しかし商品数が少ない店舗や、品薄の場合が多い点はデメリットです。
インターネットのメリットは、ホームセンターよりも品揃えが充実している点で、場合によっては店舗よりも安く購入できることもあります。
しかし実物の確認が難しく、状態や品質が確認しづらい点はデメリットです。
それぞれ一長一短があるので、自分に合ったところで購入しましょう。
鍵の交換に必要な道具を揃える
交換する鍵と一緒に、作業で使用する道具も揃える必要があります。
鍵の交換で使用するのは、基本的には「プラスドライバー」と「マイナスドライバー」の2つです。
場合によってはマイナドライバーの代わりにペンチを使用することもあるkため、これら3つを揃えておくと確実でしょう。
すでに工具が揃っている場合は、別途買い足す必要はありません。
専門的な工具は不要なので、DIYに慣れていない人でも安心して作業に臨めます。
どんな鍵に交換するのがおすすめ?
鍵を交換するなら、どのシリンダーを取り付けるかが重要です。
シリンダーは大きく4つの種類があり、それぞれで価格や特徴が異なります。それぞれの特徴の違いを知ったうえで、どれがもっともよいのかを考えましょう。
シリンダーの種類 | 安全性 | 部品価格相場 |
---|---|---|
ディスクシリンダー | 防犯性が低い | 3,000円〜 |
ピンシリンダー | 防犯性が低い | 3,000円〜 |
ディンプルシリンダー | 防犯性が高い | 15,000円〜 |
ロータリーディスクシリンダー | 防犯性が高い | 4,500円〜 |
特にディンプルシリンダーとロータリーディスクシリンダーは、鍵の構造が精密で防犯性が高いため、安全性を重視した人におすすめです。
ディンプルシリンダー
ディンプルシリンダーの特徴は、鍵の形状がギザギザではなく、表面に複数のくぼみがあることです。
鍵穴内部の構造が非常に複雑なため適合する鍵以外での解錠が難しく、防犯性が高い点が魅力です。
ディンプルシリンダーの内部には、上下左右方向からピンが出ており、これが鍵のくぼみに適合することで解錠できます。
鍵によって凹凸の数は違い、多くなるほど鍵の複雑さは増します。
ほかの鍵に比べると高価ではありますが、その分、防犯性は格段に向上するため、安全に使いたい人におすすめです。
ディンプルシリンダーはプロの鍵師でも解錠が難しく、10分以上かかることも少なくありません。
解錠に時間がかかることからピッキング被害も受けづらく、空き巣被害に遭う可能性も大幅に軽減できます。
ロータリーディスクシリンダー
広く普及していたディスクシリンダーは、防犯性の低さから製造が廃止になりつつあります。
その改良版として登場しているのがロータリーディスクシリンダーです。
ロータリーディスクシリンダーは、ディスクシリンダーをもとに改良しているため、鍵の両端にくぼみがあり形状はよく似ています。
しかし、内部の構造が違っており、鍵のくぼみに合わせたタンブラーが内蔵されている点が特徴です。
鍵の両面のくぼみに合う形状でなければ、タンブラーが回転しない仕組みになっているため、防犯性能は従来のディスクシリンダーよりも格段に高められています。
ディンプルシリンダーと比較すると防犯性能はやや落ちますが、それでも安全に利用できる点は確かです。
価格はディンプルシリンダーよりも安く、手軽に導入できる防犯対策としておすすめです。
自分で鍵交換を行う手順
新たに取り付ける鍵と工具を用意したら、いよいよ交換作業に移ります。
交換の手順は、鍵の種類やメーカーによって少しずつ異なるため、詳細は説明書を見て行うことが大切です。
大まかな手順で考えると、次の4つが挙げられます。
- 1. ドアを開けて側面のフロントプレートを外す
- 2. 室外側の上下のピンを引き抜く
- 3. シリンダーを取り外し新しいシリンダーを取り付ける
- 4. ピンを差し込みフロントプレートを戻し完了
作業自体は難しくなく、手順通りに進めることでスムーズに交換できます。
1. ドアを開けて側面のフロントプレートを外す
まずはドアを開けて、側面に取り付けられているフロントプレートを確認します。
フロントプレートはネジで固定されているため、これをドライバーで外しましょう。
ネジは小さいため、なくさないように注意が必要です。
ネジを外して引っ張ると、フロントプレートは簡単に取り外せます。
2. 室外側の上下のピンを引き抜く
フロントプレートを外したら、シリンダーを固定しているピンを引き抜きます。
ピンは室内と室外の両側にありますが、交換時に抜くのは室外側、つまりシリンダー側のピンのみです。
ピンは上下に二箇所あるため、それぞれ引き抜きます。
この際に注意したいことは、シリンダーが落ちないように手で押さえておくことです。
ピンは中に埋まってしまっていることもあるため、シリンダーを少し揺らしたり、ペンチで挟んだりして引っ張り出しましょう。
またピンを抜く際はケースが不安定になるため、間違ってドアの内側に落ちてしまうこともあります。
内側に落ちてしまうと取り出すことは非常に難しいため、落ちないように支えながら慎重に作業を進めましょう。
3. シリンダーを取り外し新しいシリンダーを取り付ける
室外側の上下のピンを取り外すと、シリンダーが外せるようになります。
古いシリンダーを外したら、新しいシリンダーを同じ場所にはめ込みます。
シリンダーには取り付けるための出っ張りがあるため、溝の向きを合わせてはめましょう。
向きをチェックしてきちんとはめ込まれていることを確認してから、次の作業に移ります。
4. ピンを差し込みフロントプレートを戻し完了
シリンダーをはめ込んだあとは、取り外した手順を逆からなぞり、各パーツを取り付けていきます。
まずは外したピンを戻して固定し、フロントプレートをかぶせてネジを留め直します。
ネジ留めまで完了し、落ちないように固定できたら、実際に使用できるか一度試してみましょう。
ドアの開閉が問題なくできるか、鍵を回してロックできるかどうかをチェックします。
確認時には、ドアを開けたまま鍵を回すことが大切で、この状態で正しく作動することを確認してから、実際にドアを閉めた状態でロックをしてみましょう。
ロックが作動しなかったり、ドアの開閉がスムーズにいかなかったりしたら、途中の手順を間違えている可能性があります。
不具合がある場合はもう一度最初の手順からやり直し、どこで間違えたのか確認しながら付け直しましょう。
自分で鍵交換する際の4つの注意点
自分でも簡単に行える鍵の交換ですが、作業をする際の注意点が4つあります。
- 1. 無理な取り外しや取り付けはドアを破損させる可能性がある
- 2. 部品はなくならないように分かりやすい位置におく
- 3. 錠前の返品は難しい
- 4. 賃貸住宅の場合は大家や管理会社に相談する
これらが守れていないと、うまく交換できなかったり思わぬトラブルが起きたりするため、きちんと把握しておきましょう。
1. 無理な取り付けや取り外しはドアを破損させる可能性もある
鍵の取り付けや取り外しの作業はそれほど難しくありませんが、手順を間違えてしまうとうまくいかなくなります。
無理に取り付けや取り外しをすると、鍵や鍵穴だけでなく、ドアまで破損させてしまう危険性があるため、注意しなければなりません。
鍵の故障による修理や交換なら数万円程度で済みますが、ドアまで壊れた場合は10万円以上の費用がかかることも多いです。
無理に作業を進めようとすると余計な問題が発生する可能性があるので、行き詰ったときは落ち着いて、手順に間違いがないか確認し直してみましょう。
2. 部品はなくならないように分かりやすい位置におく
鍵の交換は、一度取り外した部品を再度使用するため、なくさないように注意しましょう。
特にフロントプレートを留めているネジやシリンダーを固定しているピンは、小さい部品のためなくしてしまうことが多いです。
どれかひとつでも欠けてしまうと安定性が悪くなり、取り付けはできても、鍵の動作に不具合を起こしてしまうこともあります。
紛失しやすい部品は分かりやすい場所にまとめて置くなどの工夫をして、交換作業は細心の注意を払いながら行いましょう。
3. 錠前の返品は難しい
錠前は、犯罪やトラブルに繋がりやすい性質上から返品することが難しいです。
購入する際には間違いがないか、念入りに確認しておきましょう。
返品できないのは、錠前があると合鍵を作れてしまい、防犯性が極端に落ちてしまうためです。
仮に合鍵を作ってから返品すると、返品した錠前を新たに購入した人の家に、合鍵を使って入れることになります。
万が一購入してから合わないことがわかった場合は、再度別のものを買い直さなければなりません。
ただし基本的には返品は不可ですが、店舗によっては返品を受け付けていることもあります。
この場合、ほかの人が合鍵を作って返品した錠前を、自分が購入していることも考えられます。
返品の可否は事前に確認して、返品可能な店舗ではリスクの高さを考慮して購入を控えることが大切です。
4. 賃貸住宅の場合は大家や管理会社に相談する
持ち家の場合は、自分の意志だけで鍵を交換しても問題ありません。
賃貸住宅では大家さんや管理会社に相談して、事前に許可を得る必要があります。
鍵の交換は住居の改変にあたるため、所有者の許可なしに行うことは禁止されているのです。
もし許可を得ずに勝手に行ってしまうと、あとから大家さんや管理会社に指摘され、元の鍵に戻すように求められることもあります。
相談しても必ず許可が下りるわけではないので、なぜ鍵を交換しなければならないのか、明確な事情を伝えるようにしましょう。
鍵はトラブルを生みやすい部分でもあるため、無断で行うことはないようにしましょう。
自分での鍵交換が難しい場合は業者に依頼する
ここまで自分で鍵を交換する方法を紹介してきましたが、ドアの形状や鍵の種類などによっては、自分で行うことが難しい場合もあります。
難しいと感じたら、無理をせずにプロに依頼しましょう。
無理に自分でやろうとすると失敗して、大きな損害を出してしまうこともあるため、プロに任せたほうが無難です。
新しい鍵を買ったあとでも依頼できる
新しい鍵を買ってしまったあとに業者に依頼した場合でも、購入したものを使って鍵を交換してもらえるため、問題はありません。
自分で新しい鍵を用意しているなら、新しい鍵の代金は不要となり、作業工賃や人件費、出張費などだけで作業をしてもらえます。
仮に新しい鍵が適合しない場合でも、ほんの少しのサイズ違い程度ならドアや鍵の加工で対応してもらえる場合もあります。
実際に使ってもらえるかは新しい鍵とドアの相性次第ですが、購入したものは一度業者に見せて、使用できそうか判断をしてもらうのがおすすめです。
専門業者へ依頼した際の相場費用は鍵の種類によって異なる
業者に鍵交換を依頼すると、DIYよりも費用がかかります。
いくらかかるかは、交換する鍵の種類によって変わり、新しくて防犯性が高いものほど高額です。
錠前の種類 | 料金 |
---|---|
ディスクシリンダーキー | 3,500~16,200円 |
ディンプルキー | 20,000~25,000円 |
カードキー | 10,000~12,000円 |
引戸の鍵 | 6,000~15,000円 |
種類による違いは大きいですが、平均して見ると10,000~20,000円程度で交換してもらえます。
鍵の専門業者を選ぶポイント
業者に交換を依頼したからといって、必ずしも安心して任せられるわけではありません。
なかには悪徳な業者もあり、損をしたりトラブルに巻き込まれたりする可能性もあります。
依頼先を決める際には、次の5つのポイントを意識して優良業者を見つけましょう。
- キャンセル料の有無が明確
- 交換料金が明確
- アフターサービスがある
- 保証が設けられている
- 電話対応が丁寧
鍵の交換をする必要がなくなったり、ほかの業者が見つかった際に依頼をキャンセルする可能性もあるので、キャンセル料が発生しない業者を選びましょう。
交換料金のほかに出張費や作業費が別途加算されてしまうケースもあるため、交換料金の内訳が確認できる業者がよいです。
また料金面のほかに「アフターサービスや保証がついているかどうか」も見落としがちなポイントになります。
さらに電話対応が丁寧であれば相談しやすく、要望に合ったサービスを案内してもらえるので安心して依頼できるでしょう。
まとめ
今回は、自分で鍵を交換する方法や注意点などを紹介しました。
一見難しそうに思える鍵の交換は、実はDIYでも簡単にできます。
自分で鍵を交換する際は、メーカーや型番を調べてそれに合うものを購入し、取り外した手順を逆になぞって、新しいものを取り付けるだけです。
どうしても難しい場合は、業者に依頼するという方法もあります。
まずは道具を揃えて、DIYでの交換にチャレンジしてみましょう。